以前このサイトで「八百屋」という被写体の配置方法を解説したのですが、今回はその続きです。
この「八百屋」は被写体を斜めに配置することで、立体的に見えるようにすることですが、今回紹介するのは「セッシュウ」という被写体配置方法です。
セッシュウとは被写体の下に踏み台などを置いて、被写体そのものの位置を高くすることです。具体的な実例を交えてその効果を説明します。
ヤフーが運営するエンジニア育成プログラム「Yahoo!テックアカデミー」のLPです。このトップビジュアルに男女2人の写真が掲載されているのがご覧いただけると思います。こういったLPに人物を配置するのはよくあることで、文字やビジュアルだけのLPよりも、身近で温かいイメージを感じてもらえるようになります。
ちなみにこのお二人、実際はけっこう身長差があります。男性の方がかなり背が高いので、二人が並んで立つと女性の頭が男性の首下あたりに位置してしまうことになります。普通に目の前で相対している分には問題ないのですが、今回のように2ショットで並んで写真に収めるにはバランスが気になります。
そこで、撮影時にはちょっとだけ工夫してしました。
こちらは先ほどのLPに掲載している写真の元素材です。女性の足元に踏み台を置いて背を高くしている様子が伺えると思います。このように被写体の位置を高くすることを「セッシュウ」と言います。この名前は知らなくても同様のことをやったことある方も多いのではないでしょうか。
戦前戦後にアメリカやヨーロッパで活躍した早川雪洲(はやかわ せっしゅう)という俳優がいました。
早川雪洲 – Wikipedia
早川の身長は約172cmで、当時の日本人としてはそれほど小さい方ではなかったようなのですが、アメリカやヨーロッパの俳優はより大柄で早川と並ぶと身長差が目立ってしまったため、早川の足元に踏み台を置くことで構図内のバランスを整えていたようなのです。そのことから転じて「踏み台に乗せて位置を高くすること=セッシュウする」というようになったようです。
いかがでしたでしょうか?「セッシュウ」という名前は知らなくても、同様のことをやったことある方も多いのではないでしょうか。人物撮影に限らず、物撮りの時も「自分が意図した場所に被写体を配置する方法」としてセッシュウも選択肢の一つとして活用されることをお勧めします。