ひと目でピンとくる 伝わる写真の撮り方

【失敗例】コマーシャル写真風スティックのり

はじめに

今年の1月に「商品写真とはどういうものか?」というテーマのエントリを書くにあたり、ポスターや広告のクリエイティブに掲載する目的で掲載する「コマーシャル写真」の作例を撮影してみました。その撮影風景をこれまた以下のエントリにまとめています。

この作例を撮っていたときに「リップの形状ってスティックのりと似てる」と、ふと思いついてしまって、スティックのりを同じテンションで撮ってみたらどうなるんだろう?と、どうでもいい思いつきからトライしてみたのが今回の記事です。なので今回はノウハウの共有でもなんでもなく、ただの気まぐれトライのログぐらいな感じで気軽に見てください。

撮影シーン

では、まずは撮影シーン。リップの撮影と全く同じようなセッティングです。

けっこうシンプルなセッティングですよね。

セッティング図で見てもシンプルさが伺えると思います。被写体右斜め上方にライトを一灯。被写体左側にハリパネを置いて、ライトの光を反射させています。

被写体のスティックのりをリップの撮影時と同じように、練り消しを使って浮かせます。このように被写体を立体的に配置することで、スティックのりが宙に浮かんでいるような状態を表現します。

ライティング考察

前述の通り、ライティングはとってもシンプル。ストロボにはアンブレラやソフトボックスなどをつけず、リフレクターをつけただけの状態のストロボを被写体に向けてまっすぐにセットします。

モデリングライトを灯火した状態で、ライブビューを見ながら影の位置などを微調整します。

そうやって撮ってみたのがこちら。左側の写真はハリパネなしで撮影。右側はハリパネをセットした状態で撮影したものです。見ての通り、ハリパネなしの左側の写真の方が影が濃く出ているのがわかると思います。その一方でスティックのり本体の左側のシャドウが濃すぎて商品の状態が正しく見えなくなっているので、やはりハリパネでシャドウを起こしてあげた方が自然な陰影バランスに仕上がりになります。

まとめ

ということで、ハリパネ入りの写真をベースに、Photoshopで全体の陰影を整えて仕上げた写真がこちら。

自分で撮っといてアレですが、かなりイマイチですね(笑)。オリジナルのリップ写真は「屋外で長い時間活動していても落ちにくい」というイメージを表現するために「宙に浮いているような配置」と「日中の屋外のようなライティング」でセットしてみました。

一方今回の被写体はスティックのりです。のりは活動的でもなんでもないですし、そもそも室内で使うものです。リップ写真の作画意図とは全くマッチしていません。そんなわけだから、セッティングだけ似せても違和感ありまくりな仕上がりとなってしまいました。

このように、コマーシャル写真は作画意図がとても重要で、むしろ作画意図こそ全てといっても過言ではありません。単純にいい感じの写真を真似て撮っただけでは、見た目だけキレイな「伝わらない写真」になってしまいます。今日はそんな失敗例の紹介でした。

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